この画像集は、ザ・ロープ副会長並びに横浜帆船模型同好会会員として活躍された 故・白井一信氏(1951年東京生まれ)が、10年の歳月をかけて製作され「第31回世界の帆船模型展」に特別出品された HMS.VICTORYの細部を撮影、精選した190点余りの写真が収録されています。
VICTORYは、1805年のトラファルガーの海戦におけるネルソン提督の旗艦。砲104門搭載の第1級戦列艦。今も当時の姿でポーツマスのドライドッグに保存されている。しかも現役艦の扱いであるところがいかにも英国的である。
司令長官ビルヌーブ率いるフランス、スペイン連合艦隊(戦列艦33隻)は、ナポレオンの指示により、1805年10月20日イギリス艦隊の包囲網を突破し地中海に向かうため錨を上げた。この時を待っていたイギリス艦隊(戦列艦27隻)は、偵察のフリゲート艦からの通報で、直ちに迎え撃つ体制を取った。21日未明トラファルガー岬沖にて、両艦隊のシルエットが浮かび上がった。
イギリス艦隊は2つの戦列を作り、敵艦隊の真横から突き進んで行った。一方の戦列はネルソン座乗のビクトリーを先頭に、その風下側にはコリンウッドの指揮するロイヤル・サブリンを先頭とする艦隊が並行した。突入の僅か十数分前ネルソンは、ビクトリーの全マスト、ヤードを使って信号を上げさせた。「英国は各員がその義務を遂行する事を期待する」と。この信号が降ろされると次に「敵艦にできる限り接近して攻撃せよ」との突撃命令が掲揚された。
正午丁度にロイヤル・サブリンが砲撃を開始し敵艦の真っ直中へ突入した。後続のイギリス艦隊各艦も勇猛果敢に突入し、連合艦隊を全くの混乱に陥れた。
1時15分頃クォーターデッキで指揮を取っていたネルソンが突然崩れ落ちた。すぐ隣にいた敵艦レドウタブルの狙撃手の銃弾が、ネルソンの肩から背中を貫いたのである。2時半頃イギリスの勝利が確定的になった。この時点で傷ついたネルソンは、下甲板で引続き指揮権を譲ろうとしなかった。4時近くになって勝敗は完全に決したが、ネルソンも息を引き取ったのである。
ビクトリーは1805年のトラファルガー海戦における英国艦隊旗艦として、その艦上で戦死したネルソン提督の名前と共に、海軍史上に不朽の名声をとどめている。ナポレオンの挫折以後、海戦の機会もなくなったため、一時は解体されるに至ったが、英国民からの保存の声が沸き上がり、1922年ポーツマスの世界最古のドライドッグに入れられて、トラファルガー海戦当時の姿で保存されることになった。現在も現役艦の扱いである。
私の他の作品と同一縮尺の1/48としたため、船体長140センチという巨大サイズになった。このため作業、あるいは置き場所の都合からロワーマスト、バウスプリットまでで完成とせざるを得なかった。ちなみにここまでで丁度10年を費やした。
もともと複雑な第一級戦列艦であることに加え、現存する艦のため資料も豊富にあるため、。現存する船のため詳細な資料が多くあり、0.1 ミリ単位で正確さを追求した。デッドアイは200 個を黒檀の丸棒から削りだし、チェーン200 個とハンモックネットの支柱約80 本は真鍮線で作った。ハンモックネットはインターネットで網の卸屋さんを探し、やっと見つけ出した。滑車のサイズ、ロープ類についても 0.1 ミリ単位で直径を合わせ、右撚り、左撚りも実物通りとした。ラットライン(縄ばしご)の結び目だけで2000 ヶ所弱。作業量の多さには本当に参った。
[実船]
国籍:イギリス 建造年代:1765年
[模型]
縮尺:1/48 全長:1400mm(船体のみ) 製作方法 : スクラッチビルト
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