飾り付け

○ 彫刻飾り

一応飾りを自分で彫刻してみました。レリーフだと何とか見られるものができたと自負したのですが、彫像となるとお手上げです。丁度宮島さんからレリーフと彫像の一部が届いたのでこれ幸いと、下塗りは黒、上塗りをプラカラーの金色でドライ塗装をし、船体に取り付けてみました。

飾りはこれ以外に細かい装飾が沢山あります。この細かいところを宮島さんにお願いするわけには行かないと思ったのですが、飾りの種類は多く、数も大変なものです。そこで原型を木彫りとし、シリコン型材を使って、プラキャストで大量生産しました。塗装をすると金属部品のようなキラキラ感はなく、とても落ち着いた飾りになって、宮島さんの彫刻と大きな違和感もなく何とかまとめることができました。

途中の姿を見ると、アナトミーの本をそのまま再現した感があり、デフォルメしたところは殆どないので満足しています。飾りに関しては宮島さんのご協力がなければ、今回とても作品にはならなかっただろうと深く感謝しています。

予め彫刻の図面をコピーしたものをカットし、船体に貼り付けて、位置決めをする。このようにすでに塗装前に彫刻位置を決めておくと、彫刻ができあがった時点でなんの調整も必要としないで、彫刻を貼り付ける位置がぴたりと決まる。

メインの彫刻は名人宮島さんに彫っていただくよう依頼したが、小物まで全てをお願いするわけにもいかないので、見様見真似のつたない腕で何とか自分で彫ってみた。彫像は無理としても、レリーフなら何とか格好が付きそうだ。

宮島さんに依頼した彫刻が出来あがった、流石である。ザ・ロープと横浜帆船模型同好会の展覧会にも彫刻単独で出品したが、これだけで立派な作品、芸術的な薫り高いすごい彫刻がずらりと揃った。

 

できあがった彫刻類を船体に取り付けてみた。船の姿が途端に変貌する。まるで品格が違ってくる。この彫刻に負けないような船作り、これからが本当の勝負所だ。

予め取り付け位置の寸法決めはしておいたので、計算通りぴたーとフィットしてくれた。

 

全ての彫刻を取り付けた。前から眺め、横から眺め、後ろからも、彫刻を見ているだけで崇高な芸術作品に接した感を味わう。私の癖がもたげて完成しない状態での勝手な進水式、スコッチボトルの中身が軽くなっていく。

 

スターンからの眺めは格別、どんな船でもスターンは飾り付けているが、この船は特別、なんといっても王室の船である。それにふさわしい彫刻がずらりと並んだ。船は小振りとしてもこの豪華さは大型船にもひけを取らない。ただただ感激、毎日ただ眺めるだけで楽しくなり、工程が一向に進まない。

 

自作の小物彫刻、始めはどうなるかなと危惧していたが、何とか違和感なく収まった。細かく見ると宮島さんの作品とは比較にもならないが、それでも一応一人前の顔をして貼り付いている。

 

帆船のシンボル、フィギュアヘッド、こんな複雑な彫像、見ただけで震える出来映え、流石宮島さんと今更ながら感嘆しながら、もし全てを自作なんて考えるとこの辺でどうにもならなかったであろう事を想像し、寒くなってまたボトルの量は減っていく。

 

○ レール類

船体側面には沢山のレール類があります。これらのレールは筋で飾りを表現したもの、飾りを彫刻したものがあり、筋を表現する方法として、金属板で型を作り筋を彫る方法がありますが、今回の作品では板を重ねて筋を表現しました。この方が深く筋を表現することが出来、シャープな筋になるからです。

飾りの方は全て彫刻したものと、一部を彫刻し、シリコンで型取りして、プラ成形で量産したものもあります。何しろ船が大きくその飾りレールの量も多いので、技術は勿論、大変な根気が作品の質を左右します。キットの場合この辺は船が小さいせいもあるのでしょうが、殆ど変形省略してあり、これが嫌なので船を大きくしたともいえます。

レールの飾りとか小物の飾りは量が多いので部品を量産する方法としてシリコーン型を作り、プラ成形する。その原型は木で彫刻し、容器の底に貼り付ける。

シリコーンの型材は主剤と硬化剤を混合して整形する。この混合比が厳密なので、材料の計量は慎重に重さを量って決める。

計量した主剤と硬化剤は撹拌棒で良く混ぜ合わせ、原型を貼り付けた容器に注入する。注入後硬化するまで静かに容器を置く。

シリコーン型が固まったら容器から取り出し、変形、崩れをチエックする。この型にプラキャストを注入して部品を作る。この辺の詳しい作業方法は、塗装で参考にした “スーパーモデリングマニュアル”の本に詳しく書いてあるのでこれを参考にした。

整形済みのプラ部品は、バリなどを削り取り、仕上げし塗装する。この船では飾り彫刻と同じ、黒地にドライ塗装でプラカラーの金色で着色した。

プラ部品は写真のように沢山量産する。途中で足りない場合、もう一度整形するのは大変手数がかかるので、やや多めに作っておく。

できあがったプラ部品は丹念に本体にレールとともに取り付ける。ゆがんだり剥がれないよう、神経と指先で感触を掴みながら固定する。

塗装した上に貼るので、塗装を傷付けないよう汚さないよう、注意の上に注意が必要となる。

貼り終わってほっと、と思ったらゆがみが見つかった、さあ大変慎重にカッターの刃先を使って、ゆがみ部分を剥がし、再度位置決めして接着し直す。飾りは全て瞬間接着剤を使用した。