帆船模型を作るのに工房は必要か

 

確かに立派な工房があれば船作りも弾むでしょう。だけど日本の住宅事情、欧米のマニアが持っているような巨大な工房がもてるでしょうか。

また工房がなければ帆船模型を作ることはできないのでしょうか。

これから初めて帆船模型を作りたいと思っている人が工房がないと作れないとなると、いつまで経っても模型の完成した姿を見ることはできないでしょう。

そうなんです、帆船模型を作るのに工房をもつか持たないかは趣味の問題で、別に工房がないと作れないというものではありません。

以前週刊誌を見ていたら、ヨーロッパのある町の公園でビール箱を持ち出し、その上に板をおいて作業台にし、帆船模型を作っているおじさんの写真を見たことがあります。まあこれでは雨の日は当然休日ということになるのでしょうが、こんな環境でも立派な作品を作ることはできます。私たちの仲間でも台所の片隅で、機械らしいものも見あたらないのにせっせと作品作りにいそしんでいる人がいました。ここで生まれた帆船模型の作品は多くの人から名作と評価を受けていました。

この反対ですばらしい工房に整然と工具、機械が並んでいる、ところが不思議なことに帆船模型の材料が見あたらない、工作中の作品の姿もない、昔から「仏作って魂入れず」ということわざがありますが、「工房作って船入れず」ではモデラーとしては情けない話です。

いずれにしてもモデーラーである以上、工房のあるなし、立派さに関わらず、帆船模型を作り続けることが本来の姿でしょう。

 

理想的には帆船模型を作りはじめ、だんだん工房も作品も充実するというのがよいのではないでしょうか。焦らずゆっくり時を楽しみ、作りを楽しむ、とにかくご家族から邪魔にされない程度に、いやむしろ協力が得られるように作品作りに精を出しましょう。

 

作業場の環境

 

帆船模型作りは当然のことですが、多くのゴミを排出します。最初に用意する必須の器具はゴミ箱と掃除器具です。掃除用具はご家庭のものを共用すればよいのですが、ゴミ箱は最低限作業場のそばに置くようにしましょう。

それからやっかいなゴミは木の粉です。サンドペーパで削りだした木粉、再利用の機会は少ないです。これをそのまま放置すると部屋の中は真っ白になるのと少し風があると舞い上がります。早めに捨てることです。

もう一つ用意したいものがあります。それは塗れ雑巾です。掃除だけに使うのではありません。作業時にもよく使います。これは後で説明しましょう。

 

音、あまりやかましいことはないでしょう。たとえ回転鋸を使ったとしても、少し大きい音でCDでも聴いていると近所から苦情を受けるようなことはないでしょう。

防音装置の部屋? そんなものはいりません、家族から苦情が出たら少し休憩してからまた始めましょう。そのうちには音には馴れてしまいます。

シンナー吸入

 

ちょっと物騒な話ですが、これに弱い人は模型作りは大変です。帆船模型ではあまり強烈なトルエンを含んだシンナーを使うことは少ないんですが、それでも密閉した部屋で塗装なんかをやると大変です。できたら電動換気扇はつけたいですね。部屋を出て庭とか、ベランダを使うと少しは有機溶剤害から逃れることはできます。最近水性のアクリル塗料を使う人が増えてきましたが、これなら安心です。溶剤は無機水性の水道水でいいのです。

どうしても部屋の中で塗装するような場合はできるだけ窓を全開しましょう。2箇所窓があれば風通しはぐんとよくなり、適度な通風が得られます。