博物館見物

 

「百聞は一見に如かず」その通りです。図面と首っ引きで平面図を見ながら立体感を推測する。立体になったとき描いたイメージと大違い、こんなことは良くあります。そのためにも博物館を訪れ実物を見るということは、模型を作る上でも大変有効になります。好奇心が強ければ、見られただけでも満足できます。それから各地で催される作品展覧会なども博物館同様、モデラーにとっては鑑賞と云う意味以上に製作上での助け船です。 

日本の博物館

 

今色んな博物館があって、大小さまざま、ところが帆船に関したと云うことになると寂しい限りです。帆船に限定しないで海に関したということでも、やたら水族館に似たところはありますが船に関した博物館は少ないのです。

首都圏の博物館をガイド本で調べてみました。156館の内少しでも海に関した館は交通博物館なども含めて7館、そのうち船を専門にした館は3館、帆船は横浜マリタイムミュージアムと船の科学館に一応ありますが、殆どが近代船の模型展示、海の国とか、これからは海洋開発だと鳴り物ばかりで実質は皆無、まして帆船模型を多数展示しているとかテーマになっている博物館は全国的に見てもほとんどないと言っていいくらいです。日本の帆船モデラーのみなさん、帆船模型の実物を見るチャンスは年に1回各地のクラブ主催の展覧会を見るのが余程確実です。


欧米の博物館

 

欧米では、大航海時代の歴史があるので帆船に関した博物館は多数あります。大体港とか海の近くの都会では大抵海洋博物館があるといっても過言ではないでしょう。

私も海外の海洋博物館を訪れることは長い間の念願だったのですが、現役勤務の時代は果たすことができませんでした。海外旅行といえるのか会社の出張で外国へ云った経験はあるのですが仕事ではとても観光の余裕なんてとれず、台湾に行ったとき、少し時間があいたので小人国へ行ってまるで知らないのですが、前に写真で見たオランダのマドローダムを見たような気分になりこれだー、と大変感激したことがあります。その後日本でもこれに似たようなのが日光鬼怒川に東武ワールドスクエアができて海外旅行する意味が一つ減ってしまいました。

その後機会に恵まれ、そんなに多くはないのですが外国の博物館へ訪れることができました。

旅行記は別のところで詳しくレポートすることにして、ここでは帆船模型に関係のある思い出だけを綴ってみました。

 

フランス、パリの海洋博物館

ラ・セーヌが流れているエッフェル塔のそば、シャイヨ宮の中にあります。リタイヤ後初めて訪れたヨーロッパの国、以前から行くならパリと先輩から聞いていましたので第一番に選んだのです。幸いホテルがエッフェル塔の傍で、ということはシャイヨ宮の傍だったんです。

観光スケジュールのルーブル美術館見学を涙をのみながら早々に引き上げて、シャイヨ宮に急ぎました。良かったです。無理をする甲斐がありました。すぐ目に入ったのがソレイユ・ロワイヤル、写真ではとっくにお馴染みです。それから私が作ったラ・レアル。先輩が作ったインペリアルのレプリカ、見慣れた船の模型がずらり、パリに来られただけで感激していたのがこんなに多くの帆船模型に接しられるとは、今更ながら平和の良さを満喫しました。いろいろ旅行中面白いこともあったのですがそれは別のページで語りましょう。この後イギリスにも、イタリヤにも行ったのですが、初めてのヨーローッパ旅行でスケジュールの組み方が悪く、残念ながら大英博物館とビクトリーを見ることができず残念でした。


 

ポルトガル、リスボン海事博物館

同じ帆船模型同好会に所属する仲間、私を含め3人でポルトガルとスペインへ行こうと話が持ち上がり実行したのです。その最初の行き先がリスボンでした。実は船を見に行こうではなくて、リスボンでファド(シャンソンとか演歌に相当するものか)を聞こうという発想でした。みな音楽も好きだったんです。どちらかといえばそこに海事博物館があったから訪れてみたのです。入場して驚きました。広い、綺麗、静か、船一杯、奥の建物にはなんと実物大のガレー船が10隻も展示してあるんです。縮尺1/1ですからその迫力は尋常ではありません。こんなこと聞いていなかったよという内容でした。船の横にはクラシカルな飛行機もあり2度びっくりです。忘れられないのは館内のレストランでした。外で食事をという話だったんですがすっかり虜になってゆっくりシエスタを過ごすことができました。


 

スペイン、マドリード

こんな内陸にも海洋博物館があったんです。探しました、やっと地図を頼りにたどり着いたらそこは海軍省、何か怖そうな兵隊さんが門番しています。言葉不明で事情を聞くことができません。どうやら入り口は横の方にあるようですがどうもシエスタの時間でクローズしているようです。

ラテン系の国へ来ると一番気をつけないといけないことです。うっかりしていました。入り口の看板だけ撮影して、次は、近くに武器博物館があるそこへ行こう。結局その博物館もクローズしていたのです塀の外から大砲だけ写しました。


 

スペイン、バルセロナ、海洋博物館

ここの目玉は元王立造船所の建物です。確かに模型の船も並んでいたのですが、古い歴史を感じさせる建物には魅力かがありました。内部にはNHKのテレビで紹介された実物大のガレー船がおいてあり、すでに写真でなじみがあったのであまり違和感を持たずにむしろ懐かしい感じで見ていました。


 

ノールウエー、ベルゲン、船舶交通博物館

2回目の3人組ツアーで今回は北欧を選びました。最初に訪れたのがベルゲンの町の丘の上にある博物館でした。ここはあまり期待を持っていなかったのです。事前に調べたガイドブックでも大したことはなさそうだなと思っていました。

中に入った途端、驚きました、期待していなかっただけにその内容の充実に感激したんです。帆船模型だけでなく、計測用具、近代船、それに人口が少ないためか、ウイークデーだったからか、入場者は3人だけ、後で勉強ルームに子供の一団がいましたが、本当に静かでゆっくり?見ることができたのですが、実はクローズが4時、入場したのが3時、受付の屈強なおじさん、帰りたくてそわそわしていて、早く帰れと云わんばかりです。慌てて見るよりは撮影に切り替え、あっちこっちでパチリ、最後にフィギュアヘッドが並んでいたのに気づき、もっと慌ててパチリを続けたのです。


 

ノールウエー、オスロ、ヴァイキング船博物館

北方系帆船の先祖、ヴァイキング船、展示してある船は地中に埋もれていたのを発掘した本物です。確かにボートのように見えますが、ボートより遙かに大きい船体で全長22メートルです。だけどこれで北米にも辿り着いたという話を聞いて、ええ、これで、という感じのとても大洋を航行するような大きさとは思えなかったのです。行く前にクラブの一人でヴァイキング船の模型に力を入れている人から、アンカーがどのようについているのか見てきて欲しいと頼まれたのですが、どうもアンカーの姿が見えなかったのです。確かに参考書にも詳しく載ったようなのはなさそうです。


 

ノールウエー、オスロ、航海博物館

ヴァイキング船博物館のすぐ傍にあります。この他に、近くにはコンチキ博物館、フラム博物館と船に関係した博物館が一カ所に固まっているのですが、私たち3人だけ航海博物館を選びました。他もみたいのですが、限られたスケジュール、夕方にはデンマークに向かうという時間的制約があります。貴重な時間を割愛したのにも関わらず、あまり見るものがなかったのです。一寸残念でした。主に実船の装備、用具の展示が主体で、帆船に関したとか模型の展示が少なく、まあ全く無駄ではなかったのですが貴重な時間、少し後悔が残りました。

 

スウェーデン、ストックホルム、VASA博物館

1628年建造、すぐ沈没したいわく付きの本物の帆船がすぐ目の前にあるのです。多くの帆船模型を作ってきましたが、本格的なガレオン船、その巨大さと荒々しさに、なんと模型のみすぼらしいこと。当然ですが模型で見た優雅さ、確かに本物も優雅ではありますがそれ以上に戦う船であることを、まざまざ見せつけてくれます。その構造は1mm厚さのデッキなんて作っているときには想像も及ばない、外板にしても、デッキにしても鉄道の枕木をまだ大きくしたような板?いや棒が貼り付けてあるのです。勿論海の中に沈んでいたので浸食が激しかったと思われますが、まるで疱瘡にかかったようなあばたな表面、やはり模型で表現するのは無理なような気が強くなりました。殆どの装具も引き上げられたと見えて、沢山の彫刻装飾も見ることができました。模型しか知らなかったVASA、現物を見てイメージが一変しました。一重貼りがよいとか、二重貼りの方が作りやすいとか、模型製作議論が空しくなってきます。1/72縮尺の模型を作るときもどんと5mm厚さの板を張ってみようかという気にもなりました。本物を見たいという意欲はますます高まっているのですが今のところ、ここまでで海外旅行はストップしています。


 

まだ見たい博物館

国内は最初にお話ししたように絶望的です。今後すばらしい博物館でもできれば別ですが、それでクラブの友人たちから噂を良く聞く、オランダの海洋博物館、イギリスの大英博物館を始めとする、各海洋関係博物館、アメリカのアナポリス海軍士官学校の中にある帆船資料館、ワシントンのスミソニアン博物館、まだまだあります。しかし私のライフタイムと相談しながら計画しないと無理なんで意欲だけを燃やしている今日このごろということです。