何から始める

 

何も気負い込むことはありません。

最初に準備するのは作業場です。本当にビール箱の上に板を乗せる程度でもいいのです。うん十万円もかかった万能工作台ならなお結構です。どっちにしてもできる作品は同じものです。作業机で作品が変わることはありません。変わるのは自分の心と腕の問題です。広さも高さも制限はありません。座って作業する人、職業柄立ち作業でないとできない人、座るのも椅子か、座布団か、まさか寝ながら作りたいという人はいないでしょう。お天気なら屋外なんて楽しいですよ。

見せたがり屋の人なら公園へ行ってみることです。多分大勢の人がまるで大道芸人を囲むように取り囲んでくれると思います。

掃除道具

 

必ずゴミが出ます。作りはじめに道具を揃えるのは当たり前で誰でもやることです。道具が無ければ作れないんですから。だけど掃除道具を真っ先に持ち出す人なら、必ず素晴らしい作品を作る人だと私は判断します。これも箒とちりとりで十分です。あれば電気掃除機で吸い込めば、細かい木の粉などを完全に吸い取ってくれます。ただこのとき気をつけないといけないのは、その辺に落とした細かい部品、あっという間に吸い込んでしまいます。私もしょっちゅう、掃除機のゴミ袋に手を突っ込んで手探りの部品探しを良くやります。こんな楽しいことはありません。初めは腹が立つのですが、終いには笑いがこみ上げてきます。この辺も如実に人間性が現れることでしょう。できたら磁石を一個用意しておくと、これなら鉄の部品は確実に探し出すことができます。それから大体50歳以上の人はレンズx2くらい以上のもの。掃除する前に作業場付近を点検しておくとゴミ箱に手を突っ込む手数が大分減るようです。

もし無くした部品が見つからないときはしばらく呆然とします。そして明日から船作りはやめようという所まで追い込まれることもあります。明日がきたら簡単に見つかることがあります。道具でもそうなんですが、こちらの精神状態で見えなくなるんです。 

図面をコピーする

 

近くにコピー機があれば、図面をコピーした方がよいでしょう。貴重な図面です。工作中に破ってしまうことが良くあります。大きい図面でコピーができなければ細かく分割してもかまいません。近くにコピーサービスショップがればA1位いの用紙でもコピーできます。そして作業中はこのコピーした図面を使うようにしましょう。マニュアルも同じです。私はこれをやらなかった為に、マニュアルは無惨な姿になって、あっちこっちセロテープでべたべたに貼ってあります

日誌をつける

 

これは好みでどっちでもいいんですが、できたら日誌を用意して、作業の計画、記録、をメモしておくと、何かに発表するとき、次回作品の参考にと結構役立ちます。作品作りの記録だけでなくその背景も何年経っても記録が鮮やかによみがえります。それから今ならデジタルカメラなど日誌に併せた画像を残しておくとマニュアル作りとかホームページを作るときそのまま資料として残ります。

作業中手を止めて撮影するのは何かと大変ですが、途中で思い出してあっと奇声を発しても後の祭りです。作業が進むと殆ど前の行程は見えなくなってしまいます。どうしても記録を取りたかったのなら、同じ船を2隻作ることになってしまいます。

安全確認

 

駅構内の指さし確認までは必要ありませんが、工作には危険の伴うものがあります。まず塗料とか、溶剤これらは非常に引火しやすいものです。付近に火の気があると、模型だけではありません。あなたの貴重な全財産まで灰になってしまいます。模型を作っていて家を燃やしてしまったなんて、人に自慢できることではありません。保険会社にも大変な出費を強いることになります。できたら塗料と溶剤はまとめて小箱に入れておくと不用意に落としたり、こぼしたとき、被害を最小限に止めることもできます。念のいった人なら付近に消化器を準備しておいて下さい。

電気こて、電気を切り忘れて異常加熱する事があります。特に裸で机の上に置いたりしないようにしましょう。これも金属箱に入れたり、専用の固定器に固定します。鑞付けの時のバーナーは強力な炎を出します。何かに火をつける行為です。耐火煉瓦など燃えにくいもので囲んで作業しましょう。

 

模型作りには刃物は欠かせません。特に機械の安全カバーは外さないようにしましょう。切り出しは使用後すぐ鞘をかぶせましょう。カッターは刃を引き込んでおきましょう。これらが癖になっていないとつい忘れて大怪我をします。

私のように血液凝固防止剤のやっかいになっている人は大変です。模型作りで一命を失っても誰も喜んでくれません。

整理整頓

 

どこの工場に行ってもこんなポスターが貼ってあります。だけど本当に整理整頓の意味を知っている人が少ないのです。知っていても途中で忘れる人も多いのです。私たちの帆船模型作りは営利事業ではないので採算とは関係ありません。だからなにも手を抜いてまで作業を急ぐ必要はないのです。これがうまくできていないと道具が何処かに逃げてしまいます。眼鏡を掛けているのに眼鏡を探すようなことを毎日のようにやっている幸多き年代、物忘れは当たり前です。これを補ってくれるのが整理整頓です。しつこいようですが、整理とは要るものといらないものを分け、要るものだけを手元に置くことです。整頓とは必要なものをうまく並べることです。我々日本人は並べるというと縦横にきっちり並べるのが習性になっているようですが、そうではありません。一見乱雑に見えてもドイツ人のように作業がしやすいよう位置と方向を作業に適したようにおくことなんです。