製作のきっかけ

 

ロイヤルヨット・キャロライン、モデラーには人気の高い帆船です。1988年から私が所属している帆船模型のクラブ、ザ・ロープと横浜帆船模型同好会でキャロラインの展示会出品があり、その後継続して毎年出品されています。特に横浜帆船模型同好会ではワサに次ぐ出品数です。出品累計は

 

ザ・ロープ      31名  34点

横浜帆船模型同好会  16名  26点

 

となっています。この時分キットメーカーが販売を始めた模様で1988年以前の出品が見られないことでうなずけます。今までの出品作品では殆どがキットでパナルトまたはマンチャが多く中には図面から描いたスクラッチビルトも現れるようになりました。

ワサ同様飾りが豪華なので人気作品になったようです。

 

キットが出始める前、伊東屋でAnatomyシリーズの1冊としてかなり内容の豊富な本が出版されました。当然購入しましたがしばらくは本を眺めるだけでした。前回フランスの74門艦を10年もかけて構造模型を作り、地味な船に多少辟易していました。一応船体だけで完成と自己解釈し、次は何を作ろうかと物色中、これだけ詳しい資料があるのなら、どうしてもキットのようにデフォルメした作品ではなく本の姿を実現したい、いわゆるスケールモデルとして作りたいという欲望に駆られたのでした。

キャロラインの誕生

 

元々イギリスにはヨットがなかったようです。ヨットというのはオランダ語で「追いかける」という意味らしいのですが、16世紀末にはイギリスでもヨットが定着していました。そのヨットですがチャールズ2世のときにオランダから寄贈を受けました。

 

Anatomyの本では1749年建造となっていますが、その前に王室ヨットとしては初期カッターのものもあります。1749年というとジョージ2世の時代になりますが、その奥方がキャロライン。

次に王室でキャロラインが出てくるのはジョージがドイツからお嫁さんを迎えたがこれがキャロライン。ジョージは大の放蕩息子で酒好き、女好き、遊び好き、勿論ヨットでの船遊びにも惚けるというどうにもならない王様のようでした。そこへ画を見ただけで結婚を決めたキャロラインがドイツからはるばるやってきたのです。

ジョージは美食のため1/4tonも体重があったそうです。キャロラインはそれにも負けないくらいずんぐりむっくりで、見た目だけではなく、少しそばに寄っただけでその悪臭は鼻を突いたようなのです。キャロラインという名前からから受ける印象は美しい王室と想像していたが現実はドロドロで、跡継ぎ問題、両者の浮気と、どうしようもない泥沼につっこみ一時16隻もあったヨットも財政難で国論を2分する争いがあり,廃船となった経緯があります。

凡そロマンとは正反対の現実があったのであります。

こんな歴史の背景の中ロイヤルヨット・キャロラインは、ヨットレース、そして怪しげな遊びにと使われていました。元々ヨットは連絡、沿岸警備にとその軽快さを生かした小型船だったのですが、英国王室によってスポーティーな船と変化していきました。