どこでキットを売っているのか

 

先ほど紹介した「帆船模型人気キット」の巻末に帆船模型キット取扱店名簿が掲載されています。沢山お店の名前が出ていますが鉄道模型の販売店が扱っているケースが多いようです。現在取扱をやめたお店もあります。普通沢山のキットを店頭に並べているところは少なく殆どがキットの名前とメーカーをお店に話せば取り寄せてくれることになります。以前は店頭に並べていたところが多かったのですが今は少なくなって取り寄せが多いようです。

東京近郊の人なら銀座伊東屋さんへ寄ってみることです。ここならキットの多くを目の前にすることができます。キットだけではありません。帆船専用の工具、材料・部品・図面・本など資料も交え多種類揃っています。私は何も伊東屋さんから宣伝を頼まれているわけではありませんが、帆船模型のことなら国内ピカイチと保証できます。

作り方で困ったときでもあそこへ行くとクラブのメンバーがいることが多く、面白い話を聞き出すこともできます。

主に輸入を専門としている丸善通商という会社がキット、工具などの輸入を一手に引き受け卸していますが、伊東屋さんの場合は直接輸入品もあるようです。

モデラーの製作レベル

 

昔銀座の伊東屋さんへキットを買いにいったとき、キットに初級者用、中級者用、上級者用とラベルが貼ってあったのを記憶しています。この場合のランク分けは大体、部品が少なく、形も小さい、価格もかなり安いというのが初級者用、船体の形がやや複雑、飾りが多い、製作に時間がかかりそう、こんなのが中級者用、上級者用というのは船の姿が豪華、飾りがやたらと多い、船が大きい、制作時間がかかりそうと、キットの内容から分け購入するお客さんへ親切にガイドしたものでした。

 

私が帆船模型倶楽部に入会し、そこで受ける製作者のランクはもう少し別の見方をしたものでした。特に規定のように決めたものではありませんがこんな感じを受けたものです。少し詳しく説明しますと。

 

○ 初級者(ビギナーモデラーズ)

これから作り始めたいという全く初めての人から2、3隻目くらいまで、材料はキットに入っているものをそのまま使う。説明書にはすなおに従い、余分なことはしない。

工具は市販の手工具を使用する。迷いながらも何とか作ることができた。

帆船模型倶楽部から入会を勧められても「うーんまだまだ」と謙虚に躊躇する。

 

○ 中級者(ミドルモデラーズ)

そろそろキットの材料では満足できない。外板にキットの材料を使わず好みの材料を使う。自分なりに細かい部分の変化を求める。部品とか飾りをそのまま使わず、ある程度の加工をするようになる。例えば木製のブロックなど角の強いものは丸みをつける。

専用の工具を使う。ジグが増える。初心者に経験を語り教えたくなる。

 

○ 上級者(ハイモデラーズ)

外板、甲板材など自分で製材する。キットの部品は殆ど使わず自作する。機械を使うことが多くなる。飾りは自分で彫刻する。

専用の工作ジグをどんどん作り出し人に見せる。

気に入らない出来映えになったときは一部を壊して作り直す。

できた作品は人に見せたくてしようがない。犯した失敗で自慢する。

 

○ 超上級者(スーパーモデラーズ)

キットは卒業し、図面とか本を見て(人から借りても良い)自分で図面を書く。縮尺は自由、材料はすべて製材、本物に近づけようと無駄と分かっていても努力する。

独自の工作方法を編み出し、人に宣伝する。展覧会には積極的に出品する。

遂には専用工作機械まで生み出してしまう。

いわゆるスクラッチビルドを自由に楽しめる人達。

 

○ 超々上級者(ウルトラモデラーズ)

モデラーあこがれの存在。

帆船のことなら何を聞いても答えてくれる。

近寄りがたい。

厳しい目で人の作品を見る。

帆船作りを卒業して船を作らなくなった。

他のジャンルに気が移り、そこでもすぐベテランになってしまう。

 

以上は経験年数には関係なさそうです。初めて船を作ったと云いながらすごい作品を見せてくれる人もいれば何年経っても初心者的作品を作り続けている人、進歩の早い人、工作は伸びないが知識はすごく豊富な人等様々です。いずれにしても趣味の世界、自分の満足が得られることが最大の楽しみではないでしょうか。