船体内側ガンデッキより上はブルワークまで黒みを付けた赤色で塗装します。アッパーデッキは、ガンデッキと殆ど同じ工法でデッキを貼りましたが、全部は貼らずにガンデッキとビーム及び補助材が見えるように所々デッキ板を抜いてあります。

 

 このデッキには色んな装備が仕組まれています。

 

 フォアマストのトップセールビット、ケーキとか粉食品を焼くオーブン、ギャレー、ファイヤーハッチ(竈のような物で鍋を掛けて煮物もできるし、牛一匹くらいのローストができるような大きさと構造)、そこに乗っている大鍋、メイントップスルのシートビット、大きなハッチ、メインキャプスタンに続いて階段、そして高級将校の居室へ続きます。士官室には据え付けのサイドボードも用意されています。

 

 ファイヤーハッチは防火のため外回りは煉瓦でできていますが、それを保護して木枠で囲んであります。これらもカット図を参考に形作りました。そこには本物の灰をまいて接着剤で固め使用中の感じを出しました。大鍋は真鍮板で作り、リベット頭も表現して大鍋の感じを出しました。

 

 キャプスタンは文章で説明するより写真とか図の方が分かりやすいでしょう。

 

 士官室のバリアは組み込みを完成して船内に取り付けました。勿論こちらのデッキにも片弦ですが18ポンド砲が15門ずらりと並んでいます。

複雑なアッパーデッキのビーム。
複雑なアッパーデッキのビーム。
ブルワーク塗装後大砲フック付け。
ブルワーク塗装後大砲フック付け。
バウスプリットのサポート。
バウスプリットのサポート。

シートビット滑車入り。
シートビット滑車入り。
キャプスタン配置。
キャプスタン配置。
ギャレーの器具。
ギャレーの器具。

士官室のバルク。
士官室のバルク。
バルク取り付け。
バルク取り付け。
アッパーデッキ後部。
アッパーデッキ後部。

デッキの強度

 このデッキには36ポンド砲が28門も装備されています。発砲時の加速も考えるとそのGは静止時の10倍近くにもなります。だからビームも頑丈そのものです。各デッキのビームより一段と太い材料が使われている。ビームは全部で35本も取り付け、その補強もビームの両端にカーリングで支えられている。

デッキを貼る

 このビームにデッキ材を1ピースずつ貼りつけます。ビームは後で塗装するのが難しいので、予めオイルステンで塗装しておきます。デッキ材には1mm厚さのぶな材を使いました。

 デッキ材とデッキ材の間はピッチを表現するため黒い画用紙を帯状にカットしてデッキ材の側面に貼りつけています。この辺の作業は量が多いだけに同じ作業の繰り返しを大量に行います。

 

木栓の作り方

 木栓は真鍮板に0.1mmの段階で開けた穴に、細く削った木材の角棒を差し込み、しごいて段々細い丸棒にします。これを栓の直径より少し大きい穴を開けたデッキに差し込み、カッターナイフで切ります。

 

 こんな作業をガンデッキだけで約3000回繰り返したことになります。ここでも忍耐と根気を必要とする長い長い苦難が続くのです。

 

木栓打ち

 デッキがビームとクロスするところには止め釘が打たれ、釘の頭を隠す木栓が埋め込まれます。模型では釘で止める必要がないので、木栓に相当する丸棒をデッキに差込み、それらしい形に仕上げます。



デッキを磨く

 一応デッキが組み立てられると、デッキ表面を磨き平坦にします。これは四角い基材にサンドペーパーを貼った物で、本物の船の甲板磨きをするように、削っていきます。はみ出した黒い画用紙も、打ち込んだ木栓も綺麗に甲板上で平坦になっていきます。サンドペーパーは3回ほどメッシュを細かくし最終は1000番くらいのサンドペーパーを使用しました。


デッキの加工

 この後デッキに切り込みを入れハッチを作ります。船首側にはアンカーロープの水切りと水槽を作ります。その後ろにはバウスプリットの固定板がつき、又その後ろにはビットが取り付けられます。この辺もかなり本物に忠実に作りました。

 細かい仕事ではハッチの蓋作りもあります。船体後部にはキャプスタンがあり、これはアッパーデッキにも大がかりなキャプスタンがあるので、そのときに作り方の解説をしましょう。

 

 スターン側の両端には掌砲長とパーサーの個室がありますが、ここはどんなに作り込んでも見えなくなることが歴然としていたので、工作は止めました。広間は青年士官の居室になっているので、机、ベンチを据え付けました。